トピックスと市場 OBV (Market On Balance Volume)
Topix と市場 OBV (東証一部、直近半年)
作図法と利用法
1. 作図法
i 日前の株価を Pi、出来高を Vi とし、さらに市場 OBVの値を MOBVi、
値上がり銘柄数を Nup, i、値下がり銘柄数を Ndown, i と定義します (i=0 は当日を意味します)。
そうすると、MOBVi の計算法は、Nup, i と Ndown, i の値により、3つの場合に分かれます:
- 値上がり銘柄数が、値下がり銘柄数より多い場合 (Nup, i < Ndown, i):
MOVBi = MOVBi + 1 + Vi
- 値上がり銘柄数と、値下がり銘柄数が同じ場合 (Nup, i = Ndown, i):
MOVBi = MOVBi + 1
- 値上がり銘柄数が、値下がり銘柄数より少ない場合 (Nup, i > Ndown, i):
MOVBi = MOVBi + 1 − Vi
ただし、これだけでは MOBVi の値は決定できません。決定するには、十分に古い過去 n 日前を基準日として、
その日に初期値 C を与えなければなりません (MOBVn = C: C = 0 でもよい)。そうすると、
以後の MOBVi は一意的に決定されます。
2. 利用法
市場 OBVの定義から分かるように、その値は、基準日、基準値の設定により異なります。したがって、市場 OBVを見るときは
その値の大きさでなく大きさの変化を、Topix 等平均株価と比較しながら見る必要があります。
以下、これを前提にし、市場 OBVの見方について箇条書にまとめます [参考文献 1]:
- 良く知られている OBV (On Balance Volume) 指標は、個別銘柄の動向をみるための出来高指標の1つですが、
市場 OBV は、その名の通り市場全体の基調を見るのに使われます。
- 下記に示すように、市場 OBV の見方は、原則 OBV と同じですが、市場 OBV と OBV の関連を見る方法も存在します:
- OBV 指標と同じ見方:
- 株価基調の確認: 株価が、指標とともに高値 (安値) を更新していれば、その上げ (下げ) 基調は強力です。
- OBV 線の非確認: 株価が高値を更新しても、指標が高値を更新出来なければ (停滞していれば)、株価は下降に入ります。
- 株価の非確認: 株価が停滞していても、指標が高値を更新していれば、株価はまもなく新高値を更新します。
- 市場 OBV と OBV の関連:
- 市場 OBV と OBV ともに上昇傾向のときは株価の基調は明らかに強い。
- 市場 OBV が低下傾向、OBV は上昇傾向のときは、物色範囲は広くないが、市場への流入資金は多く、株価の基調は強い。
- 市場 OBV と OBV ともに下降傾向のときは、幅広く売られており株価の基調は明らかに弱い。
- 市場 OBV と OBV には下記のような相違も存在します:
- 値下がり銘柄数は値上がり銘柄数よりも多くなる傾向があるため、市場 OBV は長期的には右肩下がりになりやすい。
逆に株価上昇時には出来高が増える傾向があるため、OBV は長期的には右肩上がりになりやすい。
- その結果、市場 OBV は OBV より早めに (遅めに) ピーク(ボトム)を示す傾向になります。
- 上記より、株価基調を見るには、例えば上昇相場では OBV は前兆信号、市場OBVは確認信号として見るように、
両指標を併用するのが望ましい。
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参考文献、及び注意事項
参考文献
- 「日本テクニカル分析大全」 日本テクニカルアナリスト協会編集、日本経済新聞社
注意事項
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